「付属のストラップをそのまま使っても大丈夫?」
「練習していると、首や肩が痛くなってくる」
「種類が多くて、何を基準に選べばよいか分からない」
サックスを始めると、このような疑問を感じることがあります。
サックスストラップは、楽器の重さを支えるだけの付属品ではありません。楽器の位置を安定させ、手や腕へ余計な力を入れずに演奏したり、息の取りやすさを左右する大切な道具です。
ストラップ選びで大切なのは、次の3点です。
- 自分の体格とサックスの種類に合っている
- 自然な姿勢でマウスピースを口元へ運べる
- 首や肩など、一か所へ負担が集中しすぎない
付属のストラップでも、痛みや使いにくさがなければ、すぐに買い替える必要はありません。
一方、首が痛い、息苦しい、楽器の位置が安定しないと感じる場合は、長さの調整やストラップの種類を見直してみましょう。
この記事では、サックス初心者の方に向けて、ストラップの種類、選び方、正しい高さ、交換の目安を紹介します。
サックスストラップの役割
サックスは、両手だけで持ち上げて演奏する楽器ではありません。
サックスの重さは、種類によって大きく異なります。メーカーやモデル、使われている素材によっても変わりますが、おおよその目安は次のとおりです。
| サックスの種類重さの目安 | |
|---|---|
| ソプラノサックス | 約1kg |
| アルトサックス | 約2.3kg |
| テナーサックス | 約3.6kg |
| バリトンサックス | 約6.5kg |
初心者が手にすることの多いアルトサックスでも、約2.3kgあります。
少し持つだけなら重く感じなくても、練習や合奏で長時間構えていると、首や肩、腕へ負担がかかります。テナーやバリトンのように楽器が大きくなるほど、ストラップの形や重さの分散方法も重要になります。
ストラップが合っていないと、次のような状態になりやすくなります。
- 楽器を腕で持ち上げてしまう
- マウスピースへ顔を近づける姿勢になる
- 首や肩へ重さが集中する
- 右手の親指や手首に力が入る
- 演奏中に楽器の位置が動く
サックスを構えたときに、肩や腕へ強く力を入れなくても、マウスピースが自然に口元へ来る状態が理想です。
ストラップ以外に必要な用品も確認したい方は、「【初心者向け】サックスに必要なもの17選|付属品・お手入れチェックリスト」も参考にしてください。
サックスストラップの主な種類
サックスストラップには、首へ掛ける一般的なものから、肩や上半身へ重さを分散するものまであります。
製品によって呼び方や構造は異なりますが、大きく分けると次の4種類です。
| 種類 | 主な特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ネックタイプ | 首へ掛ける一般的な形 | 手軽さや持ち運びやすさを重視する人 | 首の一部分へ重さが集中することがある |
| ショルダータイプ | 肩まわりへ重さを分散する | 首の締め付けを減らしたい人 | 体格に合うサイズを選ぶ必要がある |
| ハーネスタイプ | 両肩や背中、胸まわりで支える | テナーやバリトンなど重い楽器を吹く人 | 装着に慣れが必要 |
| サポータータイプ | 肩や腹部など複数の場所で支える | 首へ重さを掛けたくない人 | 収納性や見た目、演奏中の動きに好みが分かれる |
それぞれに長所と短所があり、「高価なものほど全員に合う」というわけではありません。
ネックタイプ
首へ掛ける、最も一般的なサックスストラップです。
付属品として入っていることも多く、装着が簡単で、コンパクトに収納でき、安価なものが多い印象です。アルトサックスや短時間の練習では、ネックタイプで問題なく演奏できる方も多いでしょう。
首への負担や感触が気になる場合は、首に触れる部分が幅広く、クッション性のあるものを試してみてください。
ただし、パッドが厚ければ必ず楽になるとは限りません。パッドの形、硬さ、首へ当たる位置によっても感じ方が変わります。
ショルダータイプ
首の横ではなく、肩に近い部分や上半身へ重さを分散するタイプです。
首の締め付けを減らしやすく、胸まわりを圧迫しにくいよう工夫されたフロント部分にストラップのベルトを広げるバー(棒など)が入った製品もあります。
体の曲線に沿う形になっているものは、サイズが合わないと本来の位置へ装着できません。身長や胸囲によっても最適解が違うので、洋服のサイズだけで決めず、可能であれば試着して選びましょう。
ハーネスタイプ
リュックサックのように両肩へ掛け、背中や胸まわりを使って楽器を支えるタイプです。
楽器の重さを広い範囲へ分散しやすいため、テナーサックスやバリトンサックスを演奏する方、長時間演奏する方にも選ばれています。
一方、ベルトの位置が体に合っていないと、胸や脇へ当たったり、楽器を左右へ動かしにくく感じたりすることがあります。装着するのに慣れが必要ですが、体格に合わせて細かく調整できるので、慣れると使いやすくなります。
サポータータイプ
肩や腹部など、複数の場所を使って楽器を支えるタイプです。
首へ直接重さを掛けない構造の製品もあり、首まわりの圧迫が気になる方に選ばれています。
一般的なストラップとは装着方法や構えた感覚が異なるため、立奏と座奏の両方で試してみる必要があります。また、他のタイプのように折り畳みにくい形状のものも多いので、ケースへ収納できる大きさかどうかも確認が必要です。
初心者がサックスストラップを選ぶ5つのポイント
ストラップを選ぶときは、デザインや価格だけでなく、実際に楽器を掛けた状態で確認することが大切です。
次の5点を順番に見てみましょう。
1.体格に合うサイズを選ぶ
同じストラップでも、首の太さ、肩幅、身長、体の厚みによって当たり方が変わります。
サイズ展開がある製品は、メーカーの目安を確認したうえで試着しましょう。
小柄な方や子どもは、ストラップを最短にしても楽器の位置が低すぎることがあります。十分に短く調整できるかも重要です。また、身長だけでは決まらず、胸囲などの体の厚みによっても最適なサイズが違うので、試着するのが重要です。
2.サックスの種類と重さを考える
ソプラノ、アルト、テナー、バリトンでは、楽器の大きさと重さが異なります。
アルトサックスでは問題がなくても、テナーやバリトンへ持ち替えると、首や肩への負担が大きく感じられることがあります。
複数のサックスで同じストラップを使いたい場合は、対応する楽器、耐荷重、長さの調整範囲を確認してください。
3.首や肩への当たり方を確認する
ストラップを着けたら、重さがどこへ掛かっているかを感じてみましょう。
首の後ろの狭い範囲だけへ重さが集中していたり、首の左右が締め付けられたりする場合は、長さや位置が合っていない可能性があります。
幅広のパッド、肩へ重さを分散するタイプ、ハーネスタイプなども比較してみてください。
4.フックの形と安全性を確認する
ストラップのフックには、すぐに着脱できる開放型のかぎ型と、外れにくいように留め具が付いたスナップフック型があります。
初心者の方や、演奏中に体を動かす方は、フックが不意に外れにくいスナップフックを選ぶと安心です。
フックを掛けた後は、楽器本体のストラップリングへ確実に入っているか確認してください。移動したり、楽器を持ち上げたり、ふとした瞬間にフックがリングから抜けている場合もあるので、注意しましょう。また、フックの金属によりリングが削れていたり、変形していたりする場合は使用を中止しましょう。
5.長さを簡単に調整できるか確認する
ストラップの長さは、姿勢や演奏する楽器によって調整します。
調整部品が固すぎると高さを変えにくく、反対に緩すぎると演奏中に楽器が下がることがあります。
実際に楽器を掛けた状態で、滑らず固定できるか確認しましょう。
サックスストラップの正しい高さ
良いストラップを選んでも、高さが合っていなければ首や腕へ余計な力が入ります。
基本は、「顔をマウスピースへ近づける」のではなく、「息を取りやすい姿勢のまま、マウスピースを自然な口元へ運ぶ」ことです。
次の順番で調整してみましょう。
- ストラップを正しい位置へ装着する
- 楽器を手で支えながらフックを掛ける
- 顔と首を自然な位置にして右手だけで構えてみる
- マウスピースが口元へ来るまでストラップを短くする
- 左手を添えて、肩、肘、手首へ余計な力が入っていないか確認する
- 立奏と座奏の両方で高さを確認する
ストラップが長すぎると、顔を下げたり、腕で楽器を持ち上げたりしやすくなります。
反対に短すぎると、マウスピースが口元を強く押し上げ、顎や肩へ力が入ることがあります。
どちらの場合も、腕を痛めたり、首や肩に不調が出る場合があるので気をつけましょう。
組み立て方や構え方から確認したい方は、「【初心者向け】サックスは何から始める?準備・組み立て・最初の音出し」もご覧ください。
首や肩が痛いときに確認したいこと
首や肩が痛いと、すぐに新しいストラップを買いたくなるかもしれません。
しかし、ストラップの種類だけでなく、高さや姿勢が原因になっていることもあります。まずは次の点を確認しましょう。
- ストラップが長すぎないか
- 顔を前や下へ突き出していないか
- 楽器を腕で持ち上げていないか
- 首や肩の一部分だけへ重さが集中していないか
- ストラップのサイズが体格に合っているか
- 演奏時間が急に長くなっていないか
調整しても痛みやしびれが続く場合は、無理に演奏を続けないでください。
ストラップを替えるだけで解決しないこともあるため、楽器の先生に構え方を見てもらい、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
サックスストラップを交換する目安
ストラップは消耗品のリードほど頻繁に交換するものではありません。
ただし、安全に関わる部品なので、次のような状態になったら交換を検討してください。
- 紐やベルトが毛羽立ったり、ほつれたりしている
- フックが削れたり変形したりしている
- 長さの調整部品が滑る
- 演奏中に楽器の高さが下がってくる
- パッドが硬くなったり破れたりしている
- 体格や演奏するサックスが変わった
- 調整しても首や肩へ強い負担を感じる
演奏前には、フック、紐、調整部品に異常がないか簡単に確認する習慣をつけましょう。
サックスストラップに関するよくある質問
付属のストラップはすぐに買い替えたほうがよいですか?
痛みや使いにくさがなく、安全に固定できていれば、すぐに買い替える必要はありません。
まずは付属のストラップを正しい高さに調整して使ってみましょう。首や肩への当たり方や、楽器の安定性に不満を感じたときが、ほかの種類を試すタイミングです。
高価なストラップほど演奏しやすくなりますか?
価格だけで演奏しやすさは決まりません。
高価な製品には、素材や縫製、重さを分散する構造などに工夫されたものがありますが、体格や構え方に合わなければ使いにくく感じることもあります。
価格よりも、試着したときの姿勢、圧迫感、調整のしやすさを優先しましょう。
アルトとテナーで同じストラップを使えますか?
両方へ対応した製品で、長さと強度に問題がなければ使用できます。
ただし、テナーのほうが重いため、アルトでは気にならなかった首や肩への負担を感じることがありますし、体にあったものを選んだ結果、違うものを用意するケースもあります。私も、アルトとテナーで違うサイズの違うストラップを選んでいます。可能であれば、それぞれの楽器を掛けて確認してください。
ストラップによって音は変わりますか?
ストラップの構造や素材、楽器を支える位置によって、吹き心地や響きの違いを感じる奏者もいます。私の体感でも、息の吸いやすさ、首肩の疲労感、音の響き方に違いがあるなと思います。
ただし、感じ方には個人差があります。初心者のうちは、音の違いだけでなく、安全性、姿勢、呼吸のしやすさ、体への負担を優先して選びましょう。
通販だけで選んでも大丈夫ですか?
現在使っている製品と同じものを購入する場合を除き、できれば楽器店で試着することをおすすめします。
自分のサックスを持参し、立奏と座奏の両方で確認すると、購入後の失敗を減らせます。
まとめ|ストラップは体格と構え方に合わせて選びましょう
サックスストラップを選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 自分の体格と楽器に合うサイズか
- 首や肩へ重さが集中しすぎないか
- 自然な姿勢でマウスピースが口元へ来るか
- フックが安全に固定できるか
- 演奏中に長さがずれないか
付属のストラップでも、快適に演奏できていれば問題ありません。
首や肩が痛い、息苦しい、楽器が安定しないと感じる場合は、まず高さと姿勢を確認し、それでも改善しなければ別の種類を試してみましょう。
自分に合うストラップを選ぶと、楽器の重さを必要以上に意識せず、演奏へ集中しやすくなります。
サックスのお悩み、LINEで気軽にご相談ください。
楽器選びやストラップ、構え方、レッスンについて、「こんなことを聞いても大丈夫かな?」というご質問でも構いません。京都・伏見のミモザサックス教室が、丁寧にお答えします。
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