サックスの音色に魅了されて、「自分でも吹いてみたい!」と思ったとき、次に考えるのが「サックスっていろいろあるけど、どの種類を選べばいいの?」という疑問です。実はサックスには複数の種類があり、それぞれ音域も音色もキャラクターも異なります。もちろん、自分が気に入った音の楽器を始めるのが一番良いのですが、悩んでしまっている人に向けて、各種類の特徴と選び方の判断基準をお伝えできたらと思います。楽器ごとの特徴を知ることで、悩みがぐっと整理されるはずです。ぴったりの一本を見つける参考にしてみてください。
サックスは全部で何種類ある?まずは「4兄弟」を知ろう
サックスは19世紀のベルギー人楽器職人、アドルフ・サックスによって発明された木管楽器です。現代では主に4種類が広く使われており、それぞれ音域とサイズが異なります。
ソプラノサックス:繊細な高音が魅力
4種類のなかで最も音域が高く、細くまっすぐな管体が特徴的です。澄んだ透明感のある音色はほかの楽器にはない独特の美しさがあります。クラリネットに近い直線的なフォルムですが、サックス特有の倍音の豊かさがあります。
アルトサックス:もっとも親しまれている定番
サックスといえばアルトを思い浮かべる人が多いほど、もっともポピュラーな存在です。華やかで明るい音色はジャズからクラシック、ポップスまで幅広いジャンルで活躍します。初心者向けの教材や楽譜も充実しており、入門楽器として広く選ばれています。吹奏楽部ではソロを担当することも多く、花形的な存在でもあります。
テナーサックス:ジャズの象徴的な存在
アルトより一回り大きく、太くて温かみのある音色が魅力。「ジャズといえばテナー」と言われるほどジャズとの親和性が高く、渋みのあるサウンドで多くの人を魅了しています。吹奏楽では対旋律(裏メロ)を担当することが多く、合奏に厚みをもたらす存在です。
バリトンサックス:低音を支える縁の下の力持ち
4種類のなかで最も大きく低い音域を持つのがバリトンサックスです。どっしりと太い低音はバンド全体のサウンドの土台となります。サックス特有の多彩な音色を使って、低音に色彩を与えてくれる楽器です。
各楽器をジャンル別・憧れのプレイヤーから選ぶ
どの楽器の音色に惹かれるかを知るには、実際に演奏しているプレイヤーの音を聴いてみるのが一番の近道です。
アルトサックス
ジャズでは、明るく歯切れのよい音色からダークで渋い音まで、メロディーをぐいぐい引っ張っていくような力強さが魅力です。華やかでありながらも、感情の細かさも表現できる、まさに花形の存在。
クラシックでは、柔らかく透明感のある音から、人の声のような温かな音までを表情豊かに作り上げます。クラシックと言うとイメージのわかない人も多いのですが、最近ではCMやBGMに使われることも多くあります。
【代表的な演奏家】渡辺貞夫、キャンディ・ダルファー、デイヴィッド・サンボーン、チャーリー・パーカー、ポール・デズモンド、デイブ・コーズ、須川展也、マルセル・ミュール、クロード・ドゥラングル、本田雅人、上野耕平など
テナーサックス
ジャズでは太く温かみのある「渋い」サウンドが特徴です。サブトーンと呼ばれるハスキーな奏法を使ったり、その他の奏法も取り入れながら深い感情表現も可能で、「泣きのサックス」と言われるような音も魅力です。漫画『BLUE GIANT』の主人公の宮本大が演奏しているのもテナーサックスです。
クラシックの曲は多くありませんが、ラヴェルの『ボレロ』でもソロを聴けます。温かみのある音色と表情の豊かさが聴きどころです。吹奏楽でもユーフォニウムやトロンボーンなど中低音に色彩を与える役目を持っています。ソロ曲は少ないですが、アンサンブルで魅力的な音がたくさん聴けます。
【代表的な演奏家】ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、マイケル・ブレッカー、ジョシュア・レッドマン、神保佳祐(トルヴェール・クヮルテット)など
ソプラノサックス
澄んだ透明感のある音色で、聴く人の印象に強く残る独特の美しさがあります。
他の楽器と併用して演奏されることも多く、吹奏楽ではアルトサックス奏者が兼任することも多くあります。
【代表的な演奏家】ケニーG、ジョン・コルトレーン、須川展也など
バリトンサックス
低く重厚な音色で、バンド全体をどっしりと支えます。ジャズではソロ楽器としても独特な存在感を発揮します。
【代表的な演奏家】ジェリー・マリガン、田中靖人、栃尾克樹、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)など
初心者がサックスを選ぶときの判断基準
私の持論ですが、初めてのことに挑戦するときは、あまり難しく考えず、一番「これ!」と思ったものに取り組むのが良いとは思っています。ただ、それでも不安になる気持ちはあると思うので、選ぶ判断基準をもうちょっと具体的に知りたい方に、背中を押せる情報になればという気持ちでもう少し書きます。
吹きやすさ・難易度の違い
初心者にもっとも取り組みやすいのはアルトサックスです。サイズや息の量、キーのコントロールのしやすさのバランスが良く、入門用として最適とされています。
テナーはアルトに次いで人気ですが、楽器は大きくなるほど多くの息を必要とするため、アルトよりも少し体力が求められます。逆にソプラノのようにマウスピースが小さくなると、音程のコントロールが非常に繊細になります。けれど、ある程度はマウスピースやリードなどのアイテムを自分にとって吹きやすいもので揃えることで解消できる問題ですし、女性のバリトンサックス奏者も多いので、気にしすぎなくて大丈夫です。
サイズと重さ:体への負担を知っておこう
アルトサックスの本体重量はおよそ2〜3kg、ケースを含めると4〜5kg程度です。テナーはそれ以上に重く、バリトンになるとケース込みで10kgに達することもあります。首や肩への負担を考えると、体格に合った楽器を選ぶことが長く続けるためのポイントです。重量が気になる場合は、ハーネス型のストラップや持ち運び用にリュック型のケースを活用する方法もあります。
楽器が大きくなると、押すべきキーの間隔も広がりますが、身長150cmの私のような小さな手の女性でもバリトンは吹けます。それよりも、重さによる持ち運びの負担を気にしたほうがいいでしょう。
予算と維持費の目安
初心者向けモデルの価格の目安はアルトが15万円前後から、テナーが22万円前後から、バリトンは60万円前後からとなっており、楽器が大きくなるほど本体価格も高くなる傾向です。では、ソプラノサックスが安いかと言われると、そうでもなく、管体が小さい分、部品が細かいため製造が難しく高価になるため、アルトサックスとあまり値段は変わらないでしょう。
また本体以外にも、定期的に交換が必要なリードや、メンテナンス費用などのランニングコストも楽器のサイズに比例して高くなるため、維持費も含めて検討すると良いでしょう。
やりたいジャンルから選ぶ
吹奏楽やクラシックを楽しみたい場合は、アルトサックスが中心的な存在になります。ジャズで渋いソロを吹きたいならテナーサックス。ポップスやフュージョンではアルト・テナーどちらも活躍します。まずは「どんな音楽を演奏したいか」を思い浮かべて、さまざまな演奏家の音を聴いてみるといいと思います。
まとめ 自分の「好きな音」が最高の道しるべ
サックスはどの種類を選んでも、その音色には唯一無二の魅力があります。判断に迷ったときは、まずお気に入りのプレイヤーの演奏を聴いて「この音を出したい」と感じる楽器を探してみてください。その直感が、長く続けられる一本を選ぶ最高のヒントになります。
この記事を最後まで読んでいただいた方は、かなりサックスに興味が湧いているはずです。ぜひ、実際に楽器を手に取ってみてください。ミモザサックス教室では初心者の方にアルトサックスをレッスン中にお貸しするサービスもおこなっていますし、その他、ぜひ楽器店で体験して、あなたにとっての理想の一本に出会ってくださいね。
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